| 飼育プールは、直径3.8mの円形水槽を使用しました。水深は、ヒトの作業のしやすさも考えて、45cmに設定しました。プールの水はバクテリアが綺麗にしてくれる生物濾過を使用しました。 水温は、代謝を促す目的でやや高めの26℃に設定、塩素は濾過槽のバクテリアへの影響を考えて、添加しませんでした。 |
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| ●給餌内容 |
| 日付 | 給餌 回数 |
摂餌量 (ml) |
熱量 (kcal) |
給餌量 /1回 |
給餌 間隔 |
備考 | kcal/ml | 水分 % |
脂質 % |
蛋白質 % |
炭水化物 % |
| 4月10日 | 5 | 48 | 84.2 | 10ml | 1h | イヌ用エスビラックで調整 | 1.8 | 67.4 | 13.9 | 11.3 | 4.9 |
| 4月11日 | 18 | 316 | 677.2 | 30ml | 2h | 2.1 | 56.4 | 18.6 | 15.1 | 6.6 | |
| 4月12日 | 10 | 205 | 539.2 | 30ml | 2h | 2.6 | 51.1 | 20.9 | 17 | 7.4 | |
| 4月13日 | 13 | 193 | 601.9 | 15ml | 1h | 1回給餌量を下げ、給餌回数を増やす(嘔吐対策) | 3.1 | 49.9 | 27.6 | 12.9 | 6 |
| 4月14日 | 16 | 265 | 954.7 | 20ml | 1h | 動物性生クリームを添加 | 3.6 | 44.6 | 33 | 13.3 | 6.3 |
| 4月15日 | 20 | 330 | 995.7 | 20ml | 1h | 3 | 48.6 | 26.2 | 15.7 | 6.1 | |
| 4月16日 | 18 | 340 | 995.5 | 20ml | 1h | 高TG血症がみられたため生クリームの使用を中止 | 2.9 | 48.4 | 23.6 | 16.9 | 7.4 |
| 4月17日 | 19 | 340 | 997.6 | 20ml | 1h | ネコ用とイヌ用エスビラックを併用(蛋白質を増量) | 2.9 | 44.2 | 21 | 21.1 | 9.6 |
| 4月18日 | 18 | 368 | 1093.9 | 22ml | 1h | 3 | 43.1 | 20.4 | 22.2 | 10.3 | |
| 4月19日 | 16 | 329 | 761.1 | 22ml | 1h | 脱水対策として水分量を増やす | 2.3 | 54.1 | 16.7 | 17.7 | 10.3 |
| 4月20日 | 18 | 386 | 1014.1 | 25ml | 1h | 2.6 | 49.8 | 19 | 19 | 8.2 | |
| 4月21日 | 18 | 380 | 211.4 | 20ml | 30min | 脱水対策で11:00以降は水のみとする | 0.6 | 89.9 | 3.3 | 4.1 | 8.7 |
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このスナメリは、最初の血液検査の数値から、初乳を飲んでおらず、免疫が極めて弱い可能性が高いと考えられたため、血液検査を2日に1度行いました。 死亡までの間に、数値が特に大きく動いたのが、白血球数、電解質、血中尿素窒素です。 白血球数は16日に上昇がみられましたが、上昇が軽度であったことと、消化器系への影響を懸念して抗菌剤の投与は行いませんでした。19日ではさらに上昇し、21日午前には減少がみられました。21日夕方の点滴直前で急激な減少(白血球数910)がみられたことから、重度の細菌感染をおこしていた、または腸管からの漏出があった等の原因が考えられます。 |
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病理解剖検査の結果では、肺と腸に問題が見られました。 肺には、比較的古い時期の細菌感染を示す膿瘍がモザイク様に散見されました。しかし、飼育中に呼気の悪臭等は感じられませんでした。 |
| 腸管にはガスと粘血便が貯留していました。 病理的には上皮の崩壊が始まりだしており、これが、最終日の粘血便や白血球の急激な減少、ショックの原因ではないかと考えられます。上皮の崩壊の理由ははっきりしませんが、感染の可能性も考えられました。肺由来の感染であるかもしれません。 | |
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次回飼育の際には、感染症の予防に最も力を入れなければならないと考えます。具体的には、体温測定の実施、定期的な便や呼気の検査、長靴や給餌に使用する器具やミルク等のさらなる消毒・滅菌の徹底、給餌量、給餌間隔、給餌方法の検討、飼育水への塩素の添加や濾過の検討、より適切なミルクの作成(特に脂肪の検討)、早期の抗生物質投与等が挙げられます。
今回、残念な結果にはなりましたが、12日間の飼育で得られた情報は多く、とても貴重なものです。この飼育の記録は、第16回スナメリ種別繁殖検討委員会および第16回日本野生動物医学会大会、第16回野生生物保護学会で報告しました。 現在、九十九島水族館では、大村湾のスナメリのより正確な生息数を知るため、東京大学、長崎大学と合同調査を行っています。また、共同で座礁個体の収集を行い、その生態についての見解を深めています。これらの研究を、大村湾のスナメリがのびのびと生活できるよう役立てることができればと思います。 大村湾には、素晴らしい自然がまだまだ残っており、私達の興味も尽きません。この素晴らしい大村湾をしっかりと次世代へ伝えられるよう、私達は努力していきたいと思います。 |