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さぶたいとる

2018年1月5日(金曜日)

超音波で卵巣をさがせ!(妊娠までのストーリー③)

繁殖を進めるときに、メスイルカの身体の中で卵子がどのくらい育っているかを知ることは非常に重要です。卵子は非常に小さいので、卵子が入っている袋(卵胞)の成長をエコー(超音波診断装置)で追跡していきます。

 

卵胞は卵巣の中につくられます。

排卵すると卵胞が見えなくなり、卵胞は黄体に変ります。この黄体は妊娠を維持するためのホルモンを出します。ただし妊娠していなければ黄体は消えて無くなります。黄体が消えた後、しばらくするとまた卵胞が成長してきます(性周期がうまく回っていれば)。

この1サイクルで約1ヶ月。

 

つまりイルカの繁殖を進めるためには、

卵巣、卵胞、黄体、この3つをエコーで見つけ追跡する必要があります。

 

イルカを毎回捕まえてエコー検査をする方法ではイルカに大きな負担となります。そのためイルカを捕まえず、トレーニングして検査に協力してもらう方法、ハズバンダリー、業界用語「ハズバン」でエコー検査を行います。検査一つおこなうにも、トレーニングが必要です。

 

獣医も海外の論文を探して、事前にしっかりお勉強。エコーでは卵巣や卵胞、黄体がどのように見えるかエコー画像を確認します。

 

いざ実際にエコーで探してみると、

 

ぜんぜんわからん!

 

「これかな」「あれかな」、わからないから時間もかかる。

時間がかかれば、イルカも我慢できず「イヤーーー」ってなるし。

 

記録した海きららのイルカ達のエコー画像と、論文に載っているエコー画像を何度も見比べ、さらに論文を探し、ほかの水族館の獣医さんにアドバイスをもらい、悪戦苦闘。

トレーナーもイルカにとって楽ちんで、獣医も見やすい体勢を探します。

そして何度か検査を行ううちに少しずつ解ってきました。

 

イルカの身体のこのあたりにこんな向きでプローブ(超音波が出るところ)を当てると、

筋肉の境目が斜めに走ってて、

そこから下側この辺に見えてくるのが卵巣で・・・

といった感じで。

 

イルカの身体に対して垂直にプローブを当てた画像、点線が卵巣、点線内に黒く丸く見えるのが卵胞。

 

 

イルカの身体に対して水平にプローブを当てた画像、点線が卵巣、点線内に黒く丸く見えるのが卵胞。

 

卵胞は黒くみえるのでわかりやすいですが、卵胞が発育していないと、卵巣を捜すのがとっても難しいです。

卵胞の大きさは1~2cm、大きなイルカの体の中からこの小さな黒いまるを探し出します。

 

皆さんも動画を見て、卵巣と卵胞を探してみてください。

 

検査をやればやるほどエコー画像の読み取りも出来るようになり、検査の所要時間も短くなりました。

検査は獣医とトレーナーの二人三脚、コンビネーションがうまく行くとイルカへの負担も少なくできます。

 

つづく・・・