九十九島には、海が穏やかで入り江が多いことから、貴重な草花が多く残されています。
佐世保市の花「カノコユリ」をはじめ、国内では4ヶ所しか生育していないと言われている「トビカズラ」や海の宝石「アマモ」。
花々は、島の緑に静かに彩りを添えています。

ヤマザクラ

3月下旬〜4月上旬

よく知られた日本の野生ザクラの代表です。春になると葉と花が同時に開きます。九十九島の朝日、夕日に匂うさまは一幅の得がたいパノラマです。実が熟すと鳥たちが集まり、実をついばむ様子が見られます。

ザイフリボク

4月上〜中旬

枝先に紙を細く裂いたような白い花をつけ、秋になると紫黒色の実が熟します。名前の由来は漢字で采振木と書き、花が咲く様子を采配にたとえました。九十九島の海風にそよぐ様子は、海の遊覧を歓迎するかのようです。

ヒゼンミツバツツジ

4月上〜下旬

九十九島の春を代表する花です。島のあちこちで見られ、その鮮やかな紅紫色は島々の新緑に映え、見る人に感動を与える景観です。変種名に「長崎地方(nagasakianum)」の意がついています。

マルバアオダモ

4月上〜下旬

枝先に小さな白い花を密集して房状につけます。「アオダモ」は枝を切って水につけると水が青くなることに由来しています。植物のマカフシギ!! 九十九島の海の青はマルバアオダモのせい?? 幹は野球の「バット」として使われています。

トビカズラ

4月中旬〜5月上旬

日本で唯一の自生地ではないかとされる株がトコイ島に生育しています。花は幹からつぼみを出して咲きます。明るい場所では花をつけず、やや薄暗い場所に咲く特徴があります。花の大きさは約7センチ、ブドウの巨峰を思わせる黒紫色で、一房に3~20個の花をつけ、特有の香りを発します。

アマモ

4月中旬〜5月上旬

海の中に生える海草で、昆布などの海藻とは違い「海の草」と書きます。アマモがたくさん自生するアマモ場は、海のゆりかごといわれており、稚魚の大切な住処となっています。また、別名はリュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシといい、植物では日本で一番長い名前が付いています。

ハマオモト

6月下旬〜8月

海岸に生える常緑の多年草。花は夜中に開き、この時一番香りが強くなります。和名の由来は常緑の葉がオモトに似ていることから「浜万年青」とされています。また、白色の鱗形を白い木綿に見立てて「浜木綿(はまゆう)」の名でも知られています。太い茎の先に大きな白い花をつけ、夏を感じさせる九十九島の花の代表です。

ハマナデシコ

6月〜10月

花期になると多数の紅紫色の花を咲かせます。浜に群がって咲いている様子はとても鮮やかです。葉は艶やかで肉厚、茎の下部は木質化しており、海岸の厳しい条件に強い植物です。別名でフジナデシコ、夏から秋にかけて咲くのでナツナデシコとも呼ばれています。

ハマボウ

7月〜8月

温暖な海岸に生え、ハイビスカスのような形の黄色い花をつけますが、鮮やかな黄色は一日だけで、翌日には枯れてしまいます。長崎県では準絶滅危惧種に指定されています。

カノコユリ

7月〜8月

島の岩場のあちこちに生え、白地に紅色の斑点のある花をつけます。古くから栽培もされ、カサブランカなどの園芸種がつくりだされています。平成14年4月に佐世保市の市花となりました。また生育地が限定されていることから絶滅危惧種に指定されています。

ハマサジ

8月〜9月

海岸に生える二年草。満潮時、海水につかるところに生えますが、他の植物と違い枯れることはありません。名前の「ハマサジ」は葉の形が食事の時に使うサジに似ていることから、浜に生えているサジという意味で付けられました。

ツワブキ

10月〜11月

海岸の崖や岩などに生える多年草で、島のあちこちで見られます。艶やかな深緑色の大きな葉は一年を通して見ることができ、花期になると鮮やかな花を咲かせます。園芸種も多くあり、若い茎は煮て食べる事ができます。

ヤブツバキ

1月〜4月

濃緑色の葉に、赤い花が映える美しい花です。冬の花の少ない時期にはヒヨドリやメジロの大切な栄養源となります。別名「カタシの実」は、実が堅いことから隠れキリシタンの信仰心の堅さにたとえてついたそうです。